【税理士解説】「うちは相続税がかからない」は本当?全国で10人に1人が対象!最新データと課税ボーダーライン

「相続税なんて一部のお金持ち(富裕層)だけで、うちには関係ない」

そう思っていませんか?実はその認識、今では大きく時代遅れになっています。

かつては亡くなった方の4%程度にしかかからなかった相続税ですが、平成27年(2015年)の大幅な税制改正以降、課税対象者は一気に広がりました。現在では全国平均で約9.6%(約10人に1人)、東京都内に限っては約15%(約6〜7人に1人)の割合で相続税の課税対象となっています。

都内に一戸建てをお持ちの方や、老後資金をしっかり貯めてこられたご家庭では、「ごく普通のサラリーマン家庭」でも相続税がかかる時代です。今回は、相続税がかかるボーダーラインと最新の計算ルールについて分かりやすく解説します。

1. 相続税がかかるボーダーライン「基礎控除」とは?

相続財産のすべてに税金がかかるわけではありません。相続税には誰でも使える「基礎控除(きそこうじょ)」という非課税の枠があり、正味の遺産総額がこの基礎控除額を超えた場合にのみ、相続税が発生します。

現行の基礎控除額の計算式

基礎控除額は、法律で定められた相続人(法定相続人)の人数によって決まります。

$$\text{基礎控除額} = 3,000\text{万円} + \left(600\text{万円} \times \text{法定相続人の数}\right)$$

【具体例】相続人が「配偶者と子ども2人(計3人)」の場合

  • 基礎控除額: $3,000\text{万円} + (600\text{万円} \times 3\text{人}) = \mathbf{4,800\text{万円}}$

この場合、遺産総額が4,800万円以下であれば相続税は一切かからず、申告も不要です。しかし、遺産総額が8,000万円あった場合、基礎控除を超えた「3,200万円」に対して相続税が課税されます。

🏠 都内に持ち家がある方は特に注意!

東京都内に持ち家(土地・建物)がある場合、土地の路線価が高いため、自宅の評価額だけで3,000万〜4,000万円を超えてしまうケースが多々あります。これに預貯金や有価証券を合わせると、簡単に基礎控除のボーダーラインを超えてしまうのです。

2. 最新の相続税率(10%〜55%の8段階)

相続税は、財産が多ければ多いほど税率が上がる「累進課税(るいしんかぜい)」の仕組みをとっています。各相続人が法定相続分に応じて引き継いだ場合の取得金額に応じて、10%から最高55%までの税率が適用されます。

取得金額の区分(法定相続分に応じた取得額)

税率

控除額

1,000万円以下

10%

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

相続人が誰であるか(配偶者の有無、子どもの人数など)によって税額は大きく変動します。特に配偶者には「1億6,000万円まで税金がかからない特例(配偶者の税額軽減)」がありますが、二次相続(将来、配偶者が亡くなった時の相続)まで見据えた対策をしておかないと、最終的に子どもたちが支払う税金が高額になってしまうため注意が必要です。

3. 生命保険の非課税枠を活用した「賢い生前対策」

相続税対策として最も手軽で効果的なのが、生命保険の非課税枠の活用です。

生命保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象となりますが、残された遺族の生活保障という観点から、以下の非課税枠が認められています。

$$\text{生命保険の非課税限度額} = 500\text{万円} \times \text{法定相続人の数}$$

  • 例えば: 法定相続人が3人の場合、1,500万円までの死亡保険金には相続税がかかりません。

預貯金としてそのまま置いておくと全額が課税対象になりますが、一部を生命保険に組み替えておくことで、非課税枠を活用しながら「相続発生時の即座の納税資金」として現金を用意することができます。

4. 【2026年最新情報】生前贈与のルール変更に注意!

現在、相続税と贈与税の一体化に向けた税制改正が進んでいます。

従来は亡くなる前「3年以内」に行われた暦年贈与(年110万円以下の贈与など)が相続財産に持ち戻し(加算)されていましたが、法改正により「持ち戻し期間が段階的に7年へ延長」されています。

つまり、「駆け込みでの生前対策」が通用しにくくなっており、より早い段階からの計画的な生前対策が不可欠になっています。

まとめ:自分の家は対象になる?気になったら早めのシミュレーションを

相続税は「かかってから慌てて対策する」ことができません。亡くなった後では使える特例や選択肢が限られてしまうため、元気なうちに「自分の財産には相続税がかかるのか」「いくら位になるのか」を把握しておくことが一番の節税対策です。

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