【税理士解説】遺言書を作成する4つのメリット|不動産登記義務化への対応と家族トラブル防止の決め手

「遺言書を作るのは、お金持ちか高齢になってからで十分」と思っていませんか?

実は、遺言書が本当に必要なのは「ごく一般的なご家庭」です。遺言書が一枚あるだけで、残されたご家族の手続き負担が大幅に減り、親族間の感情的なもつれを未然に防ぐことができます。

今回は、遺言書を作成しておくことで得られる4つの大きなメリットと、近年導入された最新の相続関連制度を踏まえた活用法について分かりやすく解説します。

メリット①:相続手続きの「負担と時間」を劇的に減らせる

遺言書がない場合、遺族による相続手続き(名義変更や財産分け)には一般的に3ヶ月から半年以上の時間と多大な労力がかかります。相続人全員で話し合いを行い、全員が合意した「遺産分割協議書」を作成し、全員の印鑑証明書を買い揃えなければならないからです。

しかし、「遺言書」で誰にどの財産を渡すか指定しておけば、以下のメリットがあります。

  • 手続きの簡略化: 原則として遺言書で指定された人だけで手続きを進められるため、他の相続人全員の印鑑証明書を集める必要がなくなります。

  • 名義変更のスピードアップ: 預貯金の解約や不動産の名義変更がスムーズに行えます。

💡 【2026年最新ポイント】「相続登記の申請義務化」への強力な対策になる!

2024年4月1日より、不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記(名義変更)を行うことが法律で義務化されました(正当な理由なく怠ると10万円以下の過料対象)。

遺言書があれば、遺産分割協議を行わずに指定された相続人が単独でスムーズに名義変更できるため、この登記義務化にも遅滞なく対応できます。

メリット②:「マイホーム+預貯金」のご家庭でも遺産争いを防げる

相続トラブルになりやすいのは、億単位の財産がある富裕層ばかりではありません。実は「マイホーム(不動産)と預貯金が数百万円〜一千万円程度」というごく一般的なご家庭こそ、最もトラブルになりやすいのです。

なぜ一般家庭で揉めてしまうのか?

不動産は現金のように「綺麗に割って分ける」ことができません。自宅を売却して現金で分けるのか、誰かが住み続けるのかで意見が割れ、全員が納得する分け方を見つけるのが極めて困難だからです。

事前に遺言書で「マイホームは長男へ、預貯金は長女へ」など明確に指定しておくことで、残されたご家族が分け方をめぐって衝突することを防ぐことができます。

メリット③:多様な家族構成に合わせて「家族の生活」を守れる

ご家族の状況が多様化している現代において、遺言書は大切な人の権利や生活を守る強力な手段になります。例えば、以下のようなケースで事前対策が可能です。

  • 相続人と連絡が取れない場合: 子どもが海外に住んでいる、または長年音信不通の場合、遺言書がなければ遺産分割協議すら進められなくなります。あらかじめ遺言で分け方を指定しておくことで、滞りなく手続きを進められます。

  • 特別な事情がある場合: 認知(婚姻関係にない相手との子どもを子と認めること)を行ったり、素行が極めて悪く虐待等を行った家族を相続権から除く(推定相続人の廃除)指定が可能です。

  • 法定相続人以外へ遺産を渡したい場合: 特別にお世話になったお孫さんや「長男の妻(嫁)」へ財産を遺贈したり、自治体や福祉施設へ寄付(遺贈寄付)することも可能です。

メリット④:残された人の「住まいや資金の気がかり」を解決できる

自分が亡くなった後、同居している家族やパートナーが生活に困らないかという不安も、遺言書によって解消できます。

  • 住まいの確保: 同居していた配偶者や親族が家を追い出されるようなことがないよう、自宅を確実に相続させることができます。また、「配偶者居住権」を設定することで、配偶者が亡くなるまで無償で自宅に住み続けられる権利を与えることも可能です。

  • 将来の生活費・学費の確保: 残された家族に必要な学費や生活費分の財産を確実に残すよう指定できます。

補足:自分に合った「遺言書の種類」を選ぼう

遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。

遺言書の種類

特徴とメリット

注意点・最新制度

自筆証書遺言

手軽に作成でき、費用がかからない。

不備で無効になるリスクがある。

※現在は「自筆証書遺言書保管制度」を利用すれば法務局で安全に保管でき、裁判所の検認も不要。

公正証書遺言

公証人が作成するため無効になるリスクがほぼなく、最も確実。

公証人手数料がかかるが、紛失や改ざんの心配が一切ない(最も推奨)。

まとめ:残されるご家族への「最後の思いやり」を形にしませんか?

遺言書は単なる財産の指定ではなく、残されたご家族が揉めずに仲良く暮らしていくための「感謝と思いやりのメッセージ」です。法律上の要件を満たした実効性の高い遺言書を作成するためには、専門家のアドバイスを受けながら進めるのが一番の近道です。

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